産後3日目

寝不足でしんどい、というほどでもなく起床。臨月のときから細切れ睡眠だったので、身体が慣れてしまっているのだろう。

待望の便が出た。出すのが本当に怖かった。いろいろ切れるんじゃないかと思った。痔になっている気もするんだが、金曜の内診のときに聞いてみよう。

沐浴指導、夫の親族の来院、聞こえの検査、沐浴実施、合間にミルクと、かなりのハードスケジュールをこなす。しかもどれも予想した時間にはじまらずイライラした。看護師さん間で言っていることが違ったり、親族の要望がいろいろあったり、義母がしゃべりすぎたり私のすることにケチつけられたりで、なんで産後一番しんどい状態の私が気を回さなゃならんのだと疲れ果てた。身体はまだボロボロのバキバキで横になりたいのになかなかなれなかった。実母にあーだこーだと愚痴ってすっきりする。

子どもをとりあげてくれた助産師さんとバースレビューとしてお産を振り返る時間があった。このブログを書いていたことも役に立ち、助産師さんがひくぐらいぎっしりレビューを書いた(たくさん書いてくれて嬉しいと言ってくれたけど)。呼吸法が最後まで上手にできていたし、スタッフやご家族含め、あなたが一番冷静でした、と言われた。先生もびっくりするくらい進みが早くて、分娩室もういけますって言ってるのに信じてもらえなかったんですよー、診察してもらってようやく納得してもらったんです、と笑っていた。バースレビューとかめんどくせーなと産前は思っていたが、滅多にできない体験を語り合うのは楽しいんだなと思った。

子どもはなかなか母乳を飲むのに苦労している。かつ、他の子が使っている哺乳瓶の乳首では硬いらしく、飲むのに時間がかかりすぎている。小さく産まれたので口も小さいし顎の力もまだあまりないようだ。時間がかかりすぎるとどちらも疲れてしまうので、無理しないようにやっていきましょうね、とりあえずはやわらかい乳首の哺乳瓶で飲ませましょうと言われる。母乳も飲ませたいが、いまは体重を増やすことを一番の目標にしようと思う。もともとそこまで母乳育児したいわけではない。というかミルクにして、誰にでもすぐ預けられる状況をつくり、私がいつでも気軽に外出できるようにしたいのだ!そうしないとうつまっしぐらな気がするのだ!

しかし乳が張る。これか、産後おっぱいが張るよってのは。私のは吸いにくい乳らしく、しかも張ってきたので、無理に子どもに母乳を与えようとするといやがって、余計な体力を消耗し、ミルクを飲んでくれなくなる恐れがある。それでは体重が増えないので、子どもにまずミルクをあげ、満足して寝ているすきに搾乳することにした。搾乳したものは哺乳瓶に入れ、次のミルクのときに一緒に飲ませる、という作戦でいくことにする。搾乳は手でやっているが出ることは出る。ただ難しい。15分くらい自力で頑張ってみて、仕上げを看護師さんにお願いすることにした。いろいろアドバイスももらえるので、かなり気が楽になった。何が何でも母乳で!と思ってないからだとは思うが。

今日も深夜時間に子どもの寝つきが悪くなかなかスムーズに寝てくれない。でもこういうもんなんだと腹をくくった。どうせたった3時間後にミルクの時間だから起きなきゃいけないんだ私も子どもも、と思い、なんとしても寝かしつけて休まなければ!と思わないようにした。するととても気が楽になった。寝ようと頑張っている子どもの顔もかわいい。いまはまだしんどくないからこう思えるのだろうか。まあその時はその時だ。

産後2日目

お尻の痛みもだいぶおさまり、だいぶすっきりと目覚めることができた。ふらつくこともなく、朝食も完食。

シャワーを浴びたいが、点滴の先っぽだけ残している状態なので防水テープを貼ってもらわなければならない。かつ、おそらく今日も鉄剤いれられるはずなのに、なかなか今日担当の看護師さんがこない。そうこうしてたら先に赤ちゃんが部屋に連れてこられてしまった。いや、連れてこられても、と思う。昨日、泣き出したのでどうしたらいいか分からずとりあえず授乳室に連れていったら、明日授乳室の使い方の説明をしますので、それまではナースコールしてください、あまり歩かないように、と言われていたのだ。どうしたもんかいのーと思ってたらようやく看護師さん来る。たぶん忙しくていっぱいいっぱいなのだろう。やっと授乳室の説明を受ける。小さく産まれたし、私もまだ乳が出ないので、10分くらい母乳を吸う練習をした後ミルクをあげることにする。ミルクをあげるには授乳室に来て看護師さんにミルクを作ってもらわないといけないらしい。とりあえず自分でやってみたい派なので、えーいちいち授乳室行くのも、ひとに声かけたり電話したりするのも、めんどくせーと思った。どうせ家に帰ったら自分でミルク作らないといけないのにな。どうせなら作るところから練習したいんだけどな。

さっそくオムツ交換、着替え、母乳とミルクあげるのをやってみる。母乳をあげるのはちと難しく、介助を受けながらでないとうまくできない。あと、昼間は眠いらしく、がんばらないと吸えない母乳はなかなかぎゅこぎゅこ吸ってくれないことがある。夜のほうが元気かも‥こらもう昼夜逆転を覚悟するしかない。

授乳室から帰ると母が来てくれていたので、見てもらっている間にシャワー浴びにいく。やっとさっぱりした。縫われたところはほとんどしみなかったが、おそるおそる流した。

シャワー前まで、赤ちゃんが眠いのに寝られず泣いていたので、しばらく抱っこしていた。置くとまた泣いてしまうのだ。そっかーお母さんのそばがいいのね、と思っていたが、シャワー中は母に抱っこしてもらっていた。母でも抱いたら泣き止むので、おのれ誰でもいいんかい!とつっこんでおいた。しかも30分くらいは抱いていてもらったので、そのあとベットにおいても起きずに寝てくれた。母さん辛抱足りなくてごめんね。

赤ちゃんが寝ているすきに、友達に出産報告の連絡をする。みんなやはりまだかまだかと待っていたらしい。私も同じくまだかまだかと思っておりました。

3時間おきにミルクをあげる以外はずっと寝ていた我が子であるが、夜になるにつれ目がギラギラと開きだした。しばらく抱っこする。置く。5分くらいで泣き出す。またしばらく抱っこする。置く。置いたのバレる。泣く‥を3回くらい繰り返していた。どーしましょ、と思っていたらフレンドリーな看護師さんが覗きに来てくれて、抱っこしてくれた。この子は昨日もこんな感じでした!大丈夫!演技力抜群なので寝てるふりするんですよ、と笑っていた。縦抱きでゆさゆさするといいらしい。そっか、じゃあ仕方ないな、次のミルク(深夜2時)まで抱っこしとくかーと思ったが、私もウトウトしてしまい、がくっとしてしまう。子どもを落としそうになる恐怖!ソファにもたれかかりながら、縦抱きしてウトウトできればいいなあ、帰ったらさっそく抱っこひもかスリング買ったほうがいいなと思った。

夜寝ないのって本当つらいな、外が暗いしみんな寝てるし、寂しさが増すよな、部屋明るくして自分も活動できればいいけど、昼夜逆転を直すには暗い時は暗く、朝は陽を入れて、とかしたほうがいいらしいので、そういうわけにもいかなそうだな、これが続けばそりゃあ産後うつにもなるわと実感した。腹をくくって、でもずっとこの状態が続くわけじゃないし!と希望をもってやっていくしかない。

2時のミルク後はスヤスヤと寝てくれて、私も寝ることができた。よかった!ありがとう!ちょっとは体力温存できたよ!

5時のミルクはすごく時間がかかってしまい、赤ちゃんを疲れさせてしまった。途中で起こしたりげっぷさせたりオムツ替えたりするといいらしい。そうだよな、40分もミルクは毎回だと私も疲れるよな。いろいろ学ぶことがたくさんだ。

産後1日目

お尻が痛いと思いながら朝が来た。

朝食を持ってきてもらうが、起き上がるのが怖い。少しずつベッドのリクライニングをあげ、ごはんとししゃもと牛乳を食べて飲んだ。痛み止めを飲むと少しは痛みが和らぐ。

10時頃義母来院。赤ちゃんを見ようと思ってきたが、まだ新生児室にいるため11時からでないとダメだそうだ。しんどいが寝たまま昨日の様子について話をする。ちょっと静かにしといてくれとも思ったが、まだなんとか話せたのでよかった。そうしていると実母が来院し、助かったと思った。そうそう、二人で話しておいてくださいね、と思いながら私には目をつぶりじっとしておく。

11時ごろ着替えや清拭をしてもらう。朝の血液検査の結果、ヘモグロビン値が8と少なかったため、鉄剤を入れられる。このしんどさはやはり、鉄分不足からくるのか。もともと貧血ぎみではあったが、お産時の出血で一気に鉄分不足になったみたいだ。母子手帳には「出血量・多量(1415ml)」と書かれていた。なんだ、やはり出血多かったのか、そりゃ寝たきりにさせられるはずだと思った。看護師さんは、身体しんどいだろうし、今日も赤ちゃんお預かりしますね、と言ってくれる。義母と母に見せるため、少しだけ部屋に連れてきてくれた。昨日義母は病院に来られなかったので顔がみせられてよかった。

昼食が来るが、しんどさのマックスで、座っているのもつらい。37にもなって情けないが、母に食べさせてもらう。おかげでほとんど食べることができた。食べるとちょっと元気になれた。

昼過ぎ、やっと診察があり、膣に詰め込まれたガーゼを抜いてもらった。圧迫感がなくなり、かなり楽になった。歩けそうだったので、尿の管を抜いてもらう。全ての管や線がはずされ、やっと自由になれた。あとは入浴だが、もう今日はいいや、傷も痛いし。

少し調子がよくなったのをみて、看護師さんが赤ちゃんを部屋に連れてきて、母乳とミルクをはじめてあげてみる。ぱくっとくわえ、ぎゅっこぎゅっこと乳を吸う。とてもうまい。看護師さんがサポートしてくれているのもあって、すごく上手に吸えているなと思った。ひとりでやるとなると違うのかもしれないが、一安心はした。ミルクもごくごく飲んでいる。今は少し小さめだから、たくさん飲んでおっきくなれよと思う。

夫が夜来たので、赤ちゃんを部屋につれてきてもらい、夫に抱っこさせた。今までは駐車料が無料の30分以内には帰っていたのに、少し長くいてくれた。赤ちゃんパワーはさすがだ。

夜預けられるのは今日だけかもしれないので、ぐっすり寝させてもらうことにする。4時間ごとくらいには目が覚めたし、痛み止めを飲んだりはしたが、入院以降今までで一番よく寝られたと思う。明日からは母子同室になると思うが、やっていけるのだろうか心配ではあるが、体調も戻ってきているし、できるだけやってみようと思う。

入院8日目、そして出産

昨夜からじんわりとお腹と腰の痛みが出てきた。陣痛につながるかな、どうかな、と思いながらうとうとする。

9時内診、子宮口の開きはさほどらしいが、だいぶ赤ちゃんの頭が触りやすくはなってきましたね、とのこと。今日は点滴をする。今日は産まれないかもしれないけど、週数も進んできてるし、がんばってみましょうと言われる。我が子、がんばってほしい。そろそろいいだろ外の世界も。

10時点滴開始。金曜にやった時と比べ痛みが違う。気軽に人と話す余裕がない。昼食も休み休み食べた。メニューが地味だったが、お産は体力勝負!と思い意地でほぼ完食。

昼食後4回くらいトイレに行く。しかも大きいほう。2、3分感覚で痛みがくるのだが、痛い時は気張れないのですごく時間がかかる。しかも出し切ったつもりなのに何回も行きたくなる、かつすごい出る。点滴の副作用に下痢の症状ってあったな。お産のとき便出そうになったらそっちのほうに気がいって集中できなくなりそうだったので、いきみすぎないよう注意しながらなんとか出し切る。昨日便が出なかったことを後悔する。赤ちゃんも下りてきてるので、腸も押されて便が出るのかも、と看護師さんに言われる。

便と格闘している間お産のほうもどんどん進んだらしく、痛みがどんどこ増してくる。痛みをしのぐのに、ベッドに横になったり四つん這いになったり、立ってどこかに手をついてみたり、穴の空いた丸椅子に座ってみたり、と試行錯誤したのだが、「床に座布団を敷いてひざをつき、壁際にある背もたれ付きの椅子にでっかいビーズクッションを置き、それにしがみついて体をあずける」というのが私にはいちばんしっくりきた。ここでしっくりくる体勢を考えられたことが、後ですごく効いた。

合間に診察いきましょうと何回か言われる。その度に部屋から診察室まで歩いていかないといけない。通常時なら歩いて20歩程度の距離なのだが、ちきしょう、部屋で見てくれよぉぉぉ!と終わりのほうになればなるほど思った。でも逆らう気力もなく、「…はい」と力なく答え、よぼよぼ途中で何度も止まりながら進む。

診察する度に「えー!すごい!すごい進んでるよ!いい調子!」と看護師さんに褒められる。聞けばこの日すでに3人くらい産まれたらしい。この波にあなたも乗れたらいいねえ!と言われた。昼過ぎの時点では「うーん、このまま本陣痛につながるかはなんとも言えないねえ」と言われていたのだが、いやまさかこんなにスルスルと進むとは思ってもみず、慌てて夫に電話する。この時点で15時。すると県北の方にいるという。すぐに病院に向かうとは言ってくれたが、こりゃあ間に合わないかもしれないぞと思った。迷ったが、身内のフォローがないと心細かったので母に応援を頼む。すぐに駆けつけてくれてとてもありがたかったし助かった。身体的なフォローは看護師さんが完璧にやってくれたので、あれをとってくれこれを用意してくれという細かなお願いごとを頼むくらいだったが、見守ってくれているだけでがんばれた。

何回か部屋と診察室の往復をした後、陣痛室いきましょうと言われる。おお、ついに陣痛室!必要なものだけ持って移動する。フローリングに布団が敷いてあるタイプの部屋を選ぶ。壁に先程から使っているクッションを縦置きし、しっかとしがみつく。これがベスポジだった。布団のおかげで脚が痛くならないし、痛いときも踏ん張れるし、痛みが去ったあとは体をあずけて休めるし、たしかに痛いのは痛いがちょっとはマシだった。お腹に張りと胎児心音を測るモニターをつけられ、腕には点滴をされているのがなんともわずらわしく不自由ではあったが。

しかし時間が進むにつれどんどん痛い時の種類が変わってきて、うゔーーーん!と声を出さないと我慢できないレベルになり、体がプルプル震える。硬い便を出したいのに出ない時の感覚に似ている。便のパワーが何百倍もある感じ。まだそこまでいきみたいレベルではないけど、たぶんいきんじゃいけないんだろうなと思ってこらえる。痛いねーとさすってくれたりおしもを押さえてくれたりする看護師さんだが、その間にも促進剤の量を上げていく冷静さを恨む。

合間に子宮口の開きを二回くらい見られ(もちろん診察室に移動しなければならない。つらい)、分娩室いきましょうと言われる。自分の感覚としてはえっもう産む体勢になっていいの?!という感覚だった。産前の母親教室で、産む間際にならないと分娩室に移動にはなりません、と教えてもらっていたので、ゴール地点もよくわからないまま走り始めたけど(そして走る距離もどのくらいあるのかわからないまま走り始めたけど)、気がついたらゴールテープが見えてきた!と光が射した思いがした。いつ陣痛室そして分娩室に移動したのかは覚えてないが、母曰くあれよあれよと進んでいくのにびっくりしたそうだ。まだまだこんなもんじゃない、もっとかかるよ、産まれるのは深夜くらいじゃない?と思っていたそうだ。私が比較的冷静に陣痛に耐えていたのもあったかもしれない。取り乱したり大騒ぎしたり暴言を吐いたりがなく、最後まで周囲に「すみません、ありがとうございます」という気持ちでいられた。人に気をつかっているうちは産まれないと看護師さんに言われていたが、そうでもなかった。

分娩室でお産の準備をばたばたと進めてもらっている間、助産師さん看護師さんは「ご、ご主人はまだですか?!」と慌てていたらしい。すみません夫のことまで心配してもらって。でももういいです、間に合わないかもですがみなさんのリードに従って産みますので、と思っていた。すると夫到着。なんというタイミング。夫に頭の方に回ってもらい、うちわで扇いだりいきむとき頭を支えてもらったりする。

そこからいきむ体勢に入った気がする。はい、いまいきんでー、脚の内腿もってぐーっとひっぱってみてー、今度はお尻のほうに力入れてみてー、などという指示に従い、その通りやってみる。そうそう、上手上手!と褒められる。途中赤ちゃんが一番苦しいところを出ようとするとき酸素を鼻から入れられた。何回かいきんだ後、破水したのが分かった(あるいは先生が破水させたのかも)。もう頭見えてるよ、ふさふさの毛が出てきてるよと言われやったあ!と嬉しかった。あとちょっとだ。会陰切開され(ばつんばつん!というハサミを入れる音が恐怖だったが麻酔のせいか陣痛の痛みのせいか、切る時はちくっとした程度)ふーんといきむとにゅるんと出てきた感覚が。「頭出たよー、あとは肩出ますよー、ほーら出たー!」助産師さんが言った後、おぎゃあおぎゃあと泣き声が聞こえた。「おめでとうございます、女の子ですよー」おお、やはり女の子だったか。出てきた直後からずっと元気な泣き声が聞こえ、安心した。17時26分誕生。ありがとう、がんばったね!

私が胎盤を出したり会陰を縫われたりしている間、夫は赤ちゃんの方へ回って写真を撮っていた。しかし血まみれの赤ちゃんを見ているうちに気分が悪くなったようで(夫は自分の血を見るのもダメなくらいの血が苦手人間)、するっと退室してしまった。まあいいか、産む瞬間立ち会えたし。

産後の処置をしてもらっている間、赤ちゃんの体重が2518gだったことを知らされる。少なっ!41週過ぎてるのにギリ2500g超えたのか、そりゃあなかなか腹から出てこないわ、と思った。そして、週数に対して体重が少なすぎたり多すぎたりすると低血糖のおそれがあるので、新生児室でお預かりして様子を見させてください、と言われた。まあ元気に泣いてたし大丈夫だろう。産んですぐカンガルーケアしたり初乳をあげたりしたかったが、しかたない。

産後2時間は出血量や母体異変がないかを確認し部屋へ戻ると言われていた。処置中は家族は入れないが、出産後分娩室に家族ひとりずつ入ってもらい、助産師さんや先生がいない間は誰かに入ってもらって母体の状態を見てもらう。両親も入れ替わり分娩室に入ってきて、声をかけてくれる。私が会陰切開後の縫合をしている間ずっと父のデカイ声、しかもスマホの使い方を夫にレクチャーしてもらっている声がずっと聞こえ(父は先週スマホデビューしたばかり)、あの親父、私が痛い思いをしているときに呑気なことを…!と殺意を抱いていたが、父が入室した後涙ぐみながら「お母さんになれて、よかったのう」と言ったのでちょっと許す、と思った。
20時を過ぎたが、なかなか先生からの退室OKが出ない。出血量がすごく多いわけではないが、促進剤を使ったことと一気にお産が進んだことで子宮が疲れてしまい、出血しきれてないかも、とのこと。部屋に帰って一気に出血してはいけないので、しばらく分娩室で様子見させてくださいと言われる。子宮の戻りが悪いわけではないらしい。何回かお腹をくぐっと押されて出血させられる。待機中はその間夫にカープの試合経過を教えてもらったり(先制されたが逆転しそのまま勝ったのでよかった)親族に連絡したか聞いたりして過ごした。

結局、大丈夫だとは思うけど、まだ一気に出血する恐れがあるため今晩は立ち上がらないほうがいいということで導尿をされ、22時前ベッドで部屋に戻った。産む前より産んだ後のほうが時間がかかってしまった。待ってもらった家族に申し訳ない。病院の夕食が食べられなかったので、母にコンビニおむすびを買ってきてもらい、食べさせてもらった。ひとりだったら食べる気はしなかったと思うが、折角買ってきてもらったのだからもったいないし食べないとというくいいじと、食べないと後がしんどいかもと思いで、おむすびふたつ食べきった。私のごはんを見届け、夫と両親は帰っていった。最後までありがとう。

就寝前、血栓予防に弾性ストッキングとレッグエアーポンプを履かせてもらった。出産後脚がつりそうになっていたので、気持ちよかった。しかし点滴・導尿をされ、指に酸素濃度計をつけられ、脚にはポンプ、と管まみれ。かつお尻が痛い(最初尻の穴まで私は縫われたのかと思ったくらい、ピンポイントで尻が痛かった。聞けば、出産時にお尻に力が入るからうっ血してるかもしれないし、お尻の近くまで縫ってるから痛いと思う、と言われた)ので全然寝られない。痛み止めを飲んで1時間くらいは寝られた気がする。とにかく朝までずっと「尻が痛い…痛いよう…」とだけ思っていた。

入院7日目

ついに日曜日。最初は「1週間かかる人もいるのかー、へー、大変だなー」と他人事だったのに、まさか自分がその人になろうとは…。

今日もなにもすることがない。ただただ子どもも私も元気なだけだ。いやそれが一番大事なことなんだけども。階段の上り下りをがんばる。

破水したら出産までのリミットが72時間、とかいうらしいので、破水したのに抗生剤飲んでるだけで大丈夫なんですか?と看護師さんに聞くと、昨日の血液検査も問題なかったし、熱もないし胎児心音もばっちりなので大丈夫、羊水がダラダラ出てるわけじゃないし、偽破水ってこともあるしね、と言われる。そうなのか。急いで産ませないといけないのかと思ってたが。さすがに明日からはまた促進剤を使うだろうか。

夫と義母が来院。いつものことだが、義母はやはりずっとしゃべっていた。すごい。話題に事欠かない。周囲からまだ産まれないのかと聞かれまくっている義母が、予定日過ぎて最長どれくらいで産まれたひとがいますか?と看護師さんに聞いていた。看護師さんは、まあひとによりますよ、42週までは正産期なので大丈夫、一番不安を抱えてるのは妊婦さんなので、あまりプレッシャーを与えないようにしてあげてくださいね、とやんわり答えていた。そうか、病院のみなさんあたたかく見守ってくださっているのだな、と嬉しかった。看護師さんは、私の現状よりも義母が夫を産んだときの状況(逆子で普通分娩、羊水が先にほとんど出た、産んだ後は保育器行き)のほうが怖いですね、この人のほうがよっぽど安心なお産ですと笑っていた。

入院6日目

夜間羊水が流れ出る感じはなく朝を迎えた。ただ、お腹が時々痛い気がする。陣痛につながってくれればいいのだが。

6時45分から分娩監視装置つけたのだが、赤ちゃんの心音がいまいちとれず、1時間半もつけていた。

9時内診。月曜よりは薄くなってきてますね、羊水も流れ出ないようだし、今日は点滴せずいきましょうとのこと。点滴ないと自由がきくので嬉しい。がそれならやはり外出したかった…。まあいつ何が起こるか分からないので家族としては病院にいてくれたほうが安心なんだろうな。

処置もないので動くしかない。スクワットと、非常階段を1階から8階まで往復する。2日目に見てくださった先生とばったり会い、「その心意気がいい」と褒めてくださった。

休みなので夫は近くのショッピングセンターに車を停め、2時間くらいいてくれた。ローソンでプチシューを買ってきてくれた。身体に悪いものはおいしい。

20時、分娩監視装置つけられる。6分間隔くらいで張りがきてません?と言われるが、はあそうですかという感じ。赤ちゃんが動くとき、うっとなるが、痛いという感じではない。このまま陣痛につながるといいですね!寝られそうなら寝ましょうね!と言われる。よしよしいい感じだぞ、明日くらいには出てこいよと思いながらうとうと眠る。

入院5日目

入院初日は誘発に一週間もかかるのかよ?!と言っていたが、ついに週末になってしまった。過ぎてしまえばあっという間だ5日間なんて。手を尽くしているのにさっぱり気配もないし、もうどうにでもなれだ。

9時内診。ぐりぐりされているはずだがあまり痛くない。やはりちょっとは進んだということか。でもまだ子どもは遠くの奥の方にいるらしく、先生も看護師さんも「こりゃあよっぽどお腹の居心地がいいんだね」と笑っていた。どうしても私か子どもになにか問題があるから出てこないのではと不安になっているので、そう言ってくださると安心する。処置はフルコース試したんですが、どれが一番効き目ありました?と聞かれたので、点滴と答え、じゃあ今日同じ点滴をして様子見て、土日なにも処置できないからゆっくり過ごしましょう、赤ちゃんも元気だし外出してもらってもいいかもと言われた。すわ、外出許可がでるのか?!やっほー!てか病院でなにもすることないんなら土日家に帰らせてくれと思う。

点滴がはじまったが前回より痛みも張りも少ない。15時、こりゃあ今日も進歩なしかなとがっくりきて、今日担当してくれている看護師さんといろいろ話す。お腹の中の人にもたくさん話しかけてくれる。私なんぞよりよっぽど話しかけがうまい。さすがだ。もう少しで先生の内診があるから、その時に土日外泊お願いしてみましょうねと言っていた。

すると16時半、部屋を出てゴミ捨場に向かい缶を捨てた瞬間、股からちょろちょろと流れる感覚が。ん?おしっこ漏らしたか?と思ってトイレに入りナプキンを確認すると血が混じっている。意思とは関係なくたらたら流れるこの感じ…こ、これがあの破水ってやつか!と思いナースコール。すぐに内診してもらい、最初はあれ?破水じゃないかも、卵膜あるし、と言っていたのだが、高位破水であることが判明。こ、これがあの、気付きにくいから要注意と噂の高位破水!このタイミングで高位破水!と興奮アンドがっくし。せっかく一時帰宅できるかと思ってたのに。破水となれば帰れない。いやいつでも出ておいでとは言ったけどさー、いまじゃなくてよくね?さてはこいつ(お腹の中の人)よっぽど天邪鬼で親の言うこと聞かないKY野郎なのかも…と思った。先が思いやられるぜ。看護師さんには朝よりだいぶ開いてきましたね!と言われる。それでも2センチ弱らしい。まあとても少しずつだが進んでいるのはいいことだ。

17時点滴終了、破水したため感染予防に抗生剤を服薬。点滴終了後はやはり張りも痛みも遠のき、今日産まれる感じはなさそうだと思った。明日の様子を見て、促進剤を使うか自然に陣痛が来るのを待つか、判断するとのこと。その日担当の先生の方針にもよっても薬を使うかどうか変わるらしい。もうほんと、どっちでもいいです。たぶん薬使おうと使わなかろうと、結局はお腹の中の人のタイミング待ちだと思います。