産後5日目

病院で迎える二回目の土曜日。あと1日の辛抱だ!たぶん。(まだ退院時診察が終わってないので未確定)朝から胃が痛い気がして、看護師さんに報告する。ただ、いかんせん身体全体痛いし、便の出もよくないから腸も変な感じだし、子宮の収縮もあるだろうから、はっきりと胃が痛いと自分で断定ができない。昨日量の多いお祝い膳を調子に乗って完食したからかもしれません、ははは、とも報告に付け加えておく。

子どもは相変わらずミルクを飲むペースが遅い。お互いの体力を考え20分前後で飲み終えたいところだが、いつも30分以上かかってしまう。飲んでいると途中で疲れて寝てしまうのだ。うつろな目の我が子に無理矢理飲ませるのはかわいそうなのだが、飲まないと大きくならないのでがんばらせる。ぐびぐび飲むときもあるので、毎回きっちり規定量を飲ませなくてもいいようだが、一回の量が少ないと回数が頻繁になってしまうので、それはそれでしんどい。

本当は母乳が欲しそうで、おっぱいくれよ!という仕草をくずったときにする。だいぶ母乳が出るようになったので、6時くらいに母乳を差し出してみるとうまく吸ってくれた。その様を見ると嬉しいので、やはり母乳で育てたほうがいいのではと心がゆらぐ。

でもそのあとミルクを飲ませようとすると、20分たっても半分も飲めていない。まだまだ小さめなので、体重を増やしたいですね、そのためにはミルクをしっかりあげたほうがいいです、母乳は吸うのに体力いるので、母乳のあとミルクにすると体力消耗して余計に飲めなくなるから、しばらくはミルクを飲ませきることを大事にしましょう、とサポートしてくれた看護師さんが言ってくれた。しちめんどくさいのだが、「ミルク頑張って飲ませる→母乳搾乳する→次回ミルクで使う哺乳瓶に搾乳したものを入れておく」をしばらくは続けたほうが良さそうだ。ひとりでやるとこの工程で1時間かかる。それを3時間おきにはさすがにしんどいので、搾乳は毎回ではなく乳の張りが辛い時や日中の元気があるときだけでもよいかもしれない。そのうち母乳が出なくなるかもしれないが、そうしたらもう潔く完全ミルクで育てる決心がつきそうだ。

昼食前に夫来院、昼を一緒に食べようと言ってくれる。これで食事中に子どもがぐずっても、どちらかが見ることができる。とても助かった。量が多く食べられそうになかったので、病院食を夫が食べ、コンビニの三色弁当を私が食べた。子どもはグズグズしたが、そこまでひどくはならなかった。この日夫は友達と泊まりの用事があったので、たぶん明日退院してると思うから実家で会おうねと言って別れた。

そのあと授乳室に行き、ミルクを飲ませるのだがやはりペースが遅い。部屋にいた若い看護師さんにどうですかーと言われ、やっぱり30分たってもこんなに残ってて、と言うとちょっとかわってみましょうと授乳交代。やはり無理矢理最後まで飲ませられる我が子。はい、終わりましたよと子どもを返され、ありがとうございましたと授乳室を後にした。

授乳室から部屋に帰る間、なんだかよく分からないが涙が出てくる。悲しい、悔しい、疲れた、身体痛い、眠い、、、あらゆるつらさのピークに達していた。授乳ってこんなに無理矢理、標準量を飲み切るまで終わらせないといけないのか?あんなに飲むのが遅いのはうちの子どもだけな気がする。私の授乳の仕方が悪いのか?なんであの看護師さん、機械的に「とにかく作った量を飲み切らせる」感出まくってるんだろう。あんなのやだな。この子のペースというのもがあるんじゃないの?それを尊重してはくれないの?体重が増えることが全てか?もうやだ…と完全に授乳室恐怖症に陥っていた。

部屋に帰って号泣して、鼻水をかんでいたらティッシュがなくなってしまった。色々限界で、でも看護師に対する不信感が積もっていたから(土曜日で頼れそうな顔見知りの看護師さんがいなかった)、母に電話してティッシュを持って来てくれと依頼する。

来た母は看護師のいうことなんか気にしなければいい、はいはいと受け流して自分と子どものペースを守ればいい、お母さんになったのだからないちゃだめだ、強くなれと言う。このズタボロの状態の私には、それらの言葉はアドバイスにも慰めにも何にもなってないよとさらに大泣き。そして間の悪いことに義母がそこに表れ、実母と同じことを言う。ちょっと静かにしといてもらえませんかと言っても構わず喋り続けるので、思わずうるさい!と言ってしまった。かつ、母体はぼろぼろなのに次々夫側の親族がなんの連絡もなくおかまいなしにやってきて(私側の親族には母が母体を気遣って退院してからくるようにと言ってくれていた)本当にしんどかったしいやだった、いやだけど言えなかった、言えるわけないじゃないか、我慢してたのが今積もり積もって表れてるんだ、と訴えた。本当なら入院中に義母に言われた数々のいちゃもん、私へのケチのつけ方にずっとイライラしていたんだとも言いたかったが、それはやめておいた。それでも嫌なら言えばいいのに、言ってくれないと分からないじゃないか、みんな悪気はないんだしと義母は言う。言ったところで結果は同じだし、悪気はないんだから気にするお前の方が悪いと平気で言ってのける、そういう悪意のない無神経さを開き直れる人間が一番嫌いな私は、もう黙るしかなかった。実母に促され、ようやく義母は帰っていった。ごめんなさいお義母さんひどいことを言って、と帰り際に言ったが、きっと家に帰って友達か誰かに自分が嫁から受けた酷い仕打ちについてネチネチと話すんだろうなと思った。でも別にいいや、ただにこにこしてる聞き分けのいい嫁なんかじゃないというのを思い知ってもらえといたほうが、今後私も言いたいこと言えるし、と開き直ることにした。

そのあと今日担当の優しそうな中堅の看護師さんが来て、スタッフの言動にトゲがあったようで申し訳ない、と謝られた。こんなにつらくなるまえに、声をかけてくれていいんですよ、いつでも赤ちゃん預かりますし、と言ってはくれたが、家に帰ったらどうせ子育ての悩みは尽きないんだろうし、ここでいろんなアドバイスを聞いて慣れておかないともっとしんどくなると思ったんです、あと、頼るのが下手なのでついつい限界が来ないと声をあげられなくて、そういう自分をなかなか変えられなくて苦しいんです、と言った。うんうんと辛抱強く取り留めのない話を聞いてくれた看護師さんは、なかなか難しいかもしれないけど、少しずつひとを頼って楽していきましょうね、と言ってくれた。

シャワーを浴びてスッキリし、背中が痛かったから電子カイロをあてて横になっていたら、だんだん頭が痛く、吐き気も出て、なおかつ熱っぽくなってきた。熱は38度近くまであった。ナースコールをすると、担当ではない、若い看護師がやってきて、あー、どうしますー?とりあえず処方してある痛み止め飲んどけばー?って感じの対応だったので、勘弁してくれと思った。とりあえずしんどいんで赤ちゃん預かってもらえますかというのが精一杯だった。

まもなく、担当の看護師さんがやってきてくれて、アイスノンや、痛み止めと胃薬の追加処方分をテキパキと持ってきてくれた。今日はもう、赤ちゃんこっちで預かるから、しっかり寝て、身体を休めましょうねと言ってくれた。ありがたくて涙が出た。

しかし20時の授乳時間になったらまた別の看護師がやってきて、授乳の時間ですけどどうします、授乳室こられますか、夜は預かりましょうかと聞いてきやがる。なんなんだこの病院は、報連相が行き届いてねえなあ!看護師としてプロの仕事を見せろよとキレて、「無理です!」とだけ返しておいた。まあそのときちょうど夫に今日の出来事について泣きながら電話で報告していたので、それを見て授乳室来られるんなら来いよと思ったのかもしれない。

2時間ごとくらいに目は覚めたが、目覚めるたびに熱が引いているのは分かった。子どもがそばにいなくて、泣いても対応しなくていいんだとほっとするのと同時に、一緒にいられなくてごめん、気にしぃですぐ落ち込んじゃうつまんない親でごめん、と思った。