産後6日目、そして帰宅

朝はだいぶスッキリと目覚めることができた。熟睡とまではいかなかったが、最悪の体調および精神状態からは脱却した気がする。

8時過ぎに、ようやく退院時診察があった。子どもを取り上げてくれた先生がおしもや子宮の状態を見てくれる。縫合したところはきれいですよ、子宮の戻りもいいです、でも昨日熱も出たし疲れが溜まってだいぶしんどかったみたいだけど、大丈夫?退院許可だせるけれど、しんどいようならもう一日いていいんですよ、と言ってくれた。いやもう2週間も病院いるし、もーう勘弁してくださいと思って、実家に帰るんで落ち着いて過ごせると思います、大丈夫です、といって無事、退院が正式に決まった。

荷物をまとめていると、陣痛時に様子を見てくれた看護師さんがやってきて、母子手帳に記入をしてくれたり、いろいろ話をしたりしてくれた。たぶん昨日からの申し送りがされているのだろう、心身ともに心配してくれた。よかったら2週間後くらいに、一度病院に来られませんかと言われる。個別完全予約制で子育てに関するあらゆる悩み相談ができる場をこの病院は設けていて、それに参加を促された。悩んだらまた連絡して予約入れようと思ってはいたのだが、悩みの底なし沼に落ちる前に半強制的に行っておいたほうが、ひとにうまく頼れない私にとってはいいのかもしれない。予約をお願いした。同時に1ヶ月健診の予約もお願いした。

日曜なので顔なじみの看護師さんがいないのは残念だったが、手が空いていたスタッフのかたに見守られながら、やっと、やっと退院した。アイムフリー!!!ありがとう、お世話になりました。

外は暑く、日差しがきつかった。日焼けをしないように、子どもの顔をおくるみで守りながら、タクシーに乗って実家に帰った。今日からまた新しい生活がはじまるよ。

買っておいた哺乳瓶が子どもに合わなかったので、すぐに近くのドラッグストアまで買いに出かける必要があった。産後ほとんど歩いていないしお尻も痛いのでゆっくりとしか歩けず、買い物にとても時間がかかった。本当は家族に買い物を頼むべきなのだろうが、自分でないとどの哺乳瓶ならOKなのかがわからないため、歯を食いしばって自宅とドラッグストアを往復した。ふだんならなんてことない距離がとてつもなく遠く感じた。

夕方、夫がアメリカ人の友達を連れて実家まできてくれた。泊まりがけで夫はこの人が私達の地元で開催されるトライアスロンの大会に参加するのをサポートしていたのだ。夫は本当は自分も大会に出ようとしていたのだが、子どもが産まれる頃だとわかっていたので、普段泳いでいないのにいきなり海に入って長距離泳ぐのはやめてほしいと私が断念させたのだった。この友人とは結婚以降ずっとタイミングが悪くて会えず仕舞いだったので、二人とも気になっていた。日本語がかなり話せるようになっていて驚いた、と夫は言っていたが、優しいひとなのだろう、私には日本語で話してくれた。簡単な英語すら口から出て来ない自分が情けなかった。出産祝いまでいただいてしまい、今度は子ども同士遊ばせようね!と言い合って別れた。

子どもが今までとは違う環境に移ってパニックを起こさないかなと心配していたのだが、意外にスムーズに寝たり起きたりミルクを飲んだりしてくれた。夜もたいした混乱もなく寝てくれた。私は相変わらず「寝られるときに寝る」ができずにいたが、実家はやはりいいものだ。リラックスして布団に入ることができた。

産後5日目

病院で迎える二回目の土曜日。あと1日の辛抱だ!たぶん。(まだ退院時診察が終わってないので未確定)朝から胃が痛い気がして、看護師さんに報告する。ただ、いかんせん身体全体痛いし、便の出もよくないから腸も変な感じだし、子宮の収縮もあるだろうから、はっきりと胃が痛いと自分で断定ができない。昨日量の多いお祝い膳を調子に乗って完食したからかもしれません、ははは、とも報告に付け加えておく。

子どもは相変わらずミルクを飲むペースが遅い。お互いの体力を考え20分前後で飲み終えたいところだが、いつも30分以上かかってしまう。飲んでいると途中で疲れて寝てしまうのだ。うつろな目の我が子に無理矢理飲ませるのはかわいそうなのだが、飲まないと大きくならないのでがんばらせる。ぐびぐび飲むときもあるので、毎回きっちり規定量を飲ませなくてもいいようだが、一回の量が少ないと回数が頻繁になってしまうので、それはそれでしんどい。

本当は母乳が欲しそうで、おっぱいくれよ!という仕草をくずったときにする。だいぶ母乳が出るようになったので、6時くらいに母乳を差し出してみるとうまく吸ってくれた。その様を見ると嬉しいので、やはり母乳で育てたほうがいいのではと心がゆらぐ。

でもそのあとミルクを飲ませようとすると、20分たっても半分も飲めていない。まだまだ小さめなので、体重を増やしたいですね、そのためにはミルクをしっかりあげたほうがいいです、母乳は吸うのに体力いるので、母乳のあとミルクにすると体力消耗して余計に飲めなくなるから、しばらくはミルクを飲ませきることを大事にしましょう、とサポートしてくれた看護師さんが言ってくれた。しちめんどくさいのだが、「ミルク頑張って飲ませる→母乳搾乳する→次回ミルクで使う哺乳瓶に搾乳したものを入れておく」をしばらくは続けたほうが良さそうだ。ひとりでやるとこの工程で1時間かかる。それを3時間おきにはさすがにしんどいので、搾乳は毎回ではなく乳の張りが辛い時や日中の元気があるときだけでもよいかもしれない。そのうち母乳が出なくなるかもしれないが、そうしたらもう潔く完全ミルクで育てる決心がつきそうだ。

昼食前に夫来院、昼を一緒に食べようと言ってくれる。これで食事中に子どもがぐずっても、どちらかが見ることができる。とても助かった。量が多く食べられそうになかったので、病院食を夫が食べ、コンビニの三色弁当を私が食べた。子どもはグズグズしたが、そこまでひどくはならなかった。この日夫は友達と泊まりの用事があったので、たぶん明日退院してると思うから実家で会おうねと言って別れた。

そのあと授乳室に行き、ミルクを飲ませるのだがやはりペースが遅い。部屋にいた若い看護師さんにどうですかーと言われ、やっぱり30分たってもこんなに残ってて、と言うとちょっとかわってみましょうと授乳交代。やはり無理矢理最後まで飲ませられる我が子。はい、終わりましたよと子どもを返され、ありがとうございましたと授乳室を後にした。

授乳室から部屋に帰る間、なんだかよく分からないが涙が出てくる。悲しい、悔しい、疲れた、身体痛い、眠い、、、あらゆるつらさのピークに達していた。授乳ってこんなに無理矢理、標準量を飲み切るまで終わらせないといけないのか?あんなに飲むのが遅いのはうちの子どもだけな気がする。私の授乳の仕方が悪いのか?なんであの看護師さん、機械的に「とにかく作った量を飲み切らせる」感出まくってるんだろう。あんなのやだな。この子のペースというのもがあるんじゃないの?それを尊重してはくれないの?体重が増えることが全てか?もうやだ…と完全に授乳室恐怖症に陥っていた。

部屋に帰って号泣して、鼻水をかんでいたらティッシュがなくなってしまった。色々限界で、でも看護師に対する不信感が積もっていたから(土曜日で頼れそうな顔見知りの看護師さんがいなかった)、母に電話してティッシュを持って来てくれと依頼する。

来た母は看護師のいうことなんか気にしなければいい、はいはいと受け流して自分と子どものペースを守ればいい、お母さんになったのだからないちゃだめだ、強くなれと言う。このズタボロの状態の私には、それらの言葉はアドバイスにも慰めにも何にもなってないよとさらに大泣き。そして間の悪いことに義母がそこに表れ、実母と同じことを言う。ちょっと静かにしといてもらえませんかと言っても構わず喋り続けるので、思わずうるさい!と言ってしまった。かつ、母体はぼろぼろなのに次々夫側の親族がなんの連絡もなくおかまいなしにやってきて(私側の親族には母が母体を気遣って退院してからくるようにと言ってくれていた)本当にしんどかったしいやだった、いやだけど言えなかった、言えるわけないじゃないか、我慢してたのが今積もり積もって表れてるんだ、と訴えた。本当なら入院中に義母に言われた数々のいちゃもん、私へのケチのつけ方にずっとイライラしていたんだとも言いたかったが、それはやめておいた。それでも嫌なら言えばいいのに、言ってくれないと分からないじゃないか、みんな悪気はないんだしと義母は言う。言ったところで結果は同じだし、悪気はないんだから気にするお前の方が悪いと平気で言ってのける、そういう悪意のない無神経さを開き直れる人間が一番嫌いな私は、もう黙るしかなかった。実母に促され、ようやく義母は帰っていった。ごめんなさいお義母さんひどいことを言って、と帰り際に言ったが、きっと家に帰って友達か誰かに自分が嫁から受けた酷い仕打ちについてネチネチと話すんだろうなと思った。でも別にいいや、ただにこにこしてる聞き分けのいい嫁なんかじゃないというのを思い知ってもらえといたほうが、今後私も言いたいこと言えるし、と開き直ることにした。

そのあと今日担当の優しそうな中堅の看護師さんが来て、スタッフの言動にトゲがあったようで申し訳ない、と謝られた。こんなにつらくなるまえに、声をかけてくれていいんですよ、いつでも赤ちゃん預かりますし、と言ってはくれたが、家に帰ったらどうせ子育ての悩みは尽きないんだろうし、ここでいろんなアドバイスを聞いて慣れておかないともっとしんどくなると思ったんです、あと、頼るのが下手なのでついつい限界が来ないと声をあげられなくて、そういう自分をなかなか変えられなくて苦しいんです、と言った。うんうんと辛抱強く取り留めのない話を聞いてくれた看護師さんは、なかなか難しいかもしれないけど、少しずつひとを頼って楽していきましょうね、と言ってくれた。

シャワーを浴びてスッキリし、背中が痛かったから電子カイロをあてて横になっていたら、だんだん頭が痛く、吐き気も出て、なおかつ熱っぽくなってきた。熱は38度近くまであった。ナースコールをすると、担当ではない、若い看護師がやってきて、あー、どうしますー?とりあえず処方してある痛み止め飲んどけばー?って感じの対応だったので、勘弁してくれと思った。とりあえずしんどいんで赤ちゃん預かってもらえますかというのが精一杯だった。

まもなく、担当の看護師さんがやってきてくれて、アイスノンや、痛み止めと胃薬の追加処方分をテキパキと持ってきてくれた。今日はもう、赤ちゃんこっちで預かるから、しっかり寝て、身体を休めましょうねと言ってくれた。ありがたくて涙が出た。

しかし20時の授乳時間になったらまた別の看護師がやってきて、授乳の時間ですけどどうします、授乳室こられますか、夜は預かりましょうかと聞いてきやがる。なんなんだこの病院は、報連相が行き届いてねえなあ!看護師としてプロの仕事を見せろよとキレて、「無理です!」とだけ返しておいた。まあそのときちょうど夫に今日の出来事について泣きながら電話で報告していたので、それを見て授乳室来られるんなら来いよと思ったのかもしれない。

2時間ごとくらいに目は覚めたが、目覚めるたびに熱が引いているのは分かった。子どもがそばにいなくて、泣いても対応しなくていいんだとほっとするのと同時に、一緒にいられなくてごめん、気にしぃですぐ落ち込んじゃうつまんない親でごめん、と思った。

産後4日目

朝からテレビ(あさイチ)でユースケ・サンタマリアを見られてテンションが上がる。ドラマ見なければ。

まだまだ尻は痛い。おそるおそる椅子に座る日々はしばらく続きそうだ。今日担当してくれたフレンドリーな看護師さんに、尻の状態を見てもらう。とりあえず切れてはいないようだ。時間が薬なんですよねえ、と言われる。便が出るだけよしとしよう。

昼食中、子どもがくずりだしてどうしましょうと思い、子どもを左手で抱っこしたままごはんを食べるという荒技を見せてしまった。泣くけどちょっと待たせて、ぱぱっと食べればいいのだが、まだ子どもを泣かし続けることに抵抗がある。すぐ看護師さんとかが様子を見にきそうでいやなのだ。心配できてくれているのは百も承知だが、責められている感じもしてしまう。いやその前に、まずあやしてから食べろよって話なんだが、あったかいものはあったかいうちに美味しくいただきたいというくいいじが勝っている私なのだ。この日のメニュー、鳥の山椒焼き、めちゃうまかったし。

夕食はお祝い膳が出た。待ってました!すごく豪勢なメニューで、ステーキまであった。セレブ病院のフレンチフルコースお祝い膳には負けるだろうが、県立の総合病院にしては素晴らしい内容だと思う。あなたのおかげで美味しいものが食べられたよ、ありがとう、とミルクが欲しそうな子どもを横目に完食した。

夕食中、フレンドリーな看護師さんが出産のプレゼントをお持ちしました!とやって来た。子ども用マグや絵本、おくるみ、授乳クッションなどの中から好きなものを選べるという。抱き枕兼授乳クッションは買っていたのだが使い勝手が悪く、役に立ちそうになかったから買い直そうとしていたところだったので、授乳クッションにした。こんなちゃんとしたものをもらえるとは思っていなかったので嬉しかった。

夜中、お腹がごろごろして眼が覚めるも、何も出ない。しかしお腹が苦しい。下剤(寝る前に飲むと朝ごろお通じがあるタイプ)を飲んでなかったなと思い、部屋を出て冷水機まで水を汲みに行く。お腹を押さえながらゆっくり歩く様を見た看護師さんが、大丈夫ですかと声をかけてくれた。便が出てないわけではないんですが、お腹が痛くて、ミルクの時間もちかいのにどうしようと思ってというと、よかったら少し赤ちゃんお預かりしましょうかと言ってくれる。迷ったが、甘えることにした。次々回4時のミルクの時間には授乳室に行きますと答え、子どもを預けた。便はやはり出なかったが、2時間くらいは子どものことを気にせず寝ることができた。少しの時間だけでも全然違うものだなと思った。

産後3日目

寝不足でしんどい、というほどでもなく起床。臨月のときから細切れ睡眠だったので、身体が慣れてしまっているのだろう。

待望の便が出た。出すのが本当に怖かった。いろいろ切れるんじゃないかと思った。痔になっている気もするんだが、金曜の内診のときに聞いてみよう。

沐浴指導、夫の親族の来院、聞こえの検査、沐浴実施、合間にミルクと、かなりのハードスケジュールをこなす。しかもどれも予想した時間にはじまらずイライラした。看護師さん間で言っていることが違ったり、親族の要望がいろいろあったり、義母がしゃべりすぎたり私のすることにケチつけられたりで、なんで産後一番しんどい状態の私が気を回さなゃならんのだと疲れ果てた。身体はまだボロボロのバキバキで横になりたいのになかなかなれなかった。実母にあーだこーだと愚痴ってすっきりする。

子どもをとりあげてくれた助産師さんとバースレビューとしてお産を振り返る時間があった。このブログを書いていたことも役に立ち、助産師さんがひくぐらいぎっしりレビューを書いた(たくさん書いてくれて嬉しいと言ってくれたけど)。呼吸法が最後まで上手にできていたし、スタッフやご家族含め、あなたが一番冷静でした、と言われた。先生もびっくりするくらい進みが早くて、分娩室もういけますって言ってるのに信じてもらえなかったんですよー、診察してもらってようやく納得してもらったんです、と笑っていた。バースレビューとかめんどくせーなと産前は思っていたが、滅多にできない体験を語り合うのは楽しいんだなと思った。

子どもはなかなか母乳を飲むのに苦労している。かつ、他の子が使っている哺乳瓶の乳首では硬いらしく、飲むのに時間がかかりすぎている。小さく産まれたので口も小さいし顎の力もまだあまりないようだ。時間がかかりすぎるとどちらも疲れてしまうので、無理しないようにやっていきましょうね、とりあえずはやわらかい乳首の哺乳瓶で飲ませましょうと言われる。母乳も飲ませたいが、いまは体重を増やすことを一番の目標にしようと思う。もともとそこまで母乳育児したいわけではない。というかミルクにして、誰にでもすぐ預けられる状況をつくり、私がいつでも気軽に外出できるようにしたいのだ!そうしないとうつまっしぐらな気がするのだ!

しかし乳が張る。これか、産後おっぱいが張るよってのは。私のは吸いにくい乳らしく、しかも張ってきたので、無理に子どもに母乳を与えようとするといやがって、余計な体力を消耗し、ミルクを飲んでくれなくなる恐れがある。それでは体重が増えないので、子どもにまずミルクをあげ、満足して寝ているすきに搾乳することにした。搾乳したものは哺乳瓶に入れ、次のミルクのときに一緒に飲ませる、という作戦でいくことにする。搾乳は手でやっているが出ることは出る。ただ難しい。15分くらい自力で頑張ってみて、仕上げを看護師さんにお願いすることにした。いろいろアドバイスももらえるので、かなり気が楽になった。何が何でも母乳で!と思ってないからだとは思うが。

今日も深夜時間に子どもの寝つきが悪くなかなかスムーズに寝てくれない。でもこういうもんなんだと腹をくくった。どうせたった3時間後にミルクの時間だから起きなきゃいけないんだ私も子どもも、と思い、なんとしても寝かしつけて休まなければ!と思わないようにした。するととても気が楽になった。寝ようと頑張っている子どもの顔もかわいい。いまはまだしんどくないからこう思えるのだろうか。まあその時はその時だ。

産後2日目

お尻の痛みもだいぶおさまり、だいぶすっきりと目覚めることができた。ふらつくこともなく、朝食も完食。

シャワーを浴びたいが、点滴の先っぽだけ残している状態なので防水テープを貼ってもらわなければならない。かつ、おそらく今日も鉄剤いれられるはずなのに、なかなか今日担当の看護師さんがこない。そうこうしてたら先に赤ちゃんが部屋に連れてこられてしまった。いや、連れてこられても、と思う。昨日、泣き出したのでどうしたらいいか分からずとりあえず授乳室に連れていったら、明日授乳室の使い方の説明をしますので、それまではナースコールしてください、あまり歩かないように、と言われていたのだ。どうしたもんかいのーと思ってたらようやく看護師さん来る。たぶん忙しくていっぱいいっぱいなのだろう。やっと授乳室の説明を受ける。小さく産まれたし、私もまだ乳が出ないので、10分くらい母乳を吸う練習をした後ミルクをあげることにする。ミルクをあげるには授乳室に来て看護師さんにミルクを作ってもらわないといけないらしい。とりあえず自分でやってみたい派なので、えーいちいち授乳室行くのも、ひとに声かけたり電話したりするのも、めんどくせーと思った。どうせ家に帰ったら自分でミルク作らないといけないのにな。どうせなら作るところから練習したいんだけどな。

さっそくオムツ交換、着替え、母乳とミルクあげるのをやってみる。母乳をあげるのはちと難しく、介助を受けながらでないとうまくできない。あと、昼間は眠いらしく、がんばらないと吸えない母乳はなかなかぎゅこぎゅこ吸ってくれないことがある。夜のほうが元気かも‥こらもう昼夜逆転を覚悟するしかない。

授乳室から帰ると母が来てくれていたので、見てもらっている間にシャワー浴びにいく。やっとさっぱりした。縫われたところはほとんどしみなかったが、おそるおそる流した。

シャワー前まで、赤ちゃんが眠いのに寝られず泣いていたので、しばらく抱っこしていた。置くとまた泣いてしまうのだ。そっかーお母さんのそばがいいのね、と思っていたが、シャワー中は母に抱っこしてもらっていた。母でも抱いたら泣き止むので、おのれ誰でもいいんかい!とつっこんでおいた。しかも30分くらいは抱いていてもらったので、そのあとベットにおいても起きずに寝てくれた。母さん辛抱足りなくてごめんね。

赤ちゃんが寝ているすきに、友達に出産報告の連絡をする。みんなやはりまだかまだかと待っていたらしい。私も同じくまだかまだかと思っておりました。

3時間おきにミルクをあげる以外はずっと寝ていた我が子であるが、夜になるにつれ目がギラギラと開きだした。しばらく抱っこする。置く。5分くらいで泣き出す。またしばらく抱っこする。置く。置いたのバレる。泣く‥を3回くらい繰り返していた。どーしましょ、と思っていたらフレンドリーな看護師さんが覗きに来てくれて、抱っこしてくれた。この子は昨日もこんな感じでした!大丈夫!演技力抜群なので寝てるふりするんですよ、と笑っていた。縦抱きでゆさゆさするといいらしい。そっか、じゃあ仕方ないな、次のミルク(深夜2時)まで抱っこしとくかーと思ったが、私もウトウトしてしまい、がくっとしてしまう。子どもを落としそうになる恐怖!ソファにもたれかかりながら、縦抱きしてウトウトできればいいなあ、帰ったらさっそく抱っこひもかスリング買ったほうがいいなと思った。

夜寝ないのって本当つらいな、外が暗いしみんな寝てるし、寂しさが増すよな、部屋明るくして自分も活動できればいいけど、昼夜逆転を直すには暗い時は暗く、朝は陽を入れて、とかしたほうがいいらしいので、そういうわけにもいかなそうだな、これが続けばそりゃあ産後うつにもなるわと実感した。腹をくくって、でもずっとこの状態が続くわけじゃないし!と希望をもってやっていくしかない。

2時のミルク後はスヤスヤと寝てくれて、私も寝ることができた。よかった!ありがとう!ちょっとは体力温存できたよ!

5時のミルクはすごく時間がかかってしまい、赤ちゃんを疲れさせてしまった。途中で起こしたりげっぷさせたりオムツ替えたりするといいらしい。そうだよな、40分もミルクは毎回だと私も疲れるよな。いろいろ学ぶことがたくさんだ。

産後1日目

お尻が痛いと思いながら朝が来た。

朝食を持ってきてもらうが、起き上がるのが怖い。少しずつベッドのリクライニングをあげ、ごはんとししゃもと牛乳を食べて飲んだ。痛み止めを飲むと少しは痛みが和らぐ。

10時頃義母来院。赤ちゃんを見ようと思ってきたが、まだ新生児室にいるため11時からでないとダメだそうだ。しんどいが寝たまま昨日の様子について話をする。ちょっと静かにしといてくれとも思ったが、まだなんとか話せたのでよかった。そうしていると実母が来院し、助かったと思った。そうそう、二人で話しておいてくださいね、と思いながら私には目をつぶりじっとしておく。

11時ごろ着替えや清拭をしてもらう。朝の血液検査の結果、ヘモグロビン値が8と少なかったため、鉄剤を入れられる。このしんどさはやはり、鉄分不足からくるのか。もともと貧血ぎみではあったが、お産時の出血で一気に鉄分不足になったみたいだ。母子手帳には「出血量・多量(1415ml)」と書かれていた。なんだ、やはり出血多かったのか、そりゃ寝たきりにさせられるはずだと思った。看護師さんは、身体しんどいだろうし、今日も赤ちゃんお預かりしますね、と言ってくれる。義母と母に見せるため、少しだけ部屋に連れてきてくれた。昨日義母は病院に来られなかったので顔がみせられてよかった。

昼食が来るが、しんどさのマックスで、座っているのもつらい。37にもなって情けないが、母に食べさせてもらう。おかげでほとんど食べることができた。食べるとちょっと元気になれた。

昼過ぎ、やっと診察があり、膣に詰め込まれたガーゼを抜いてもらった。圧迫感がなくなり、かなり楽になった。歩けそうだったので、尿の管を抜いてもらう。全ての管や線がはずされ、やっと自由になれた。あとは入浴だが、もう今日はいいや、傷も痛いし。

少し調子がよくなったのをみて、看護師さんが赤ちゃんを部屋に連れてきて、母乳とミルクをはじめてあげてみる。ぱくっとくわえ、ぎゅっこぎゅっこと乳を吸う。とてもうまい。看護師さんがサポートしてくれているのもあって、すごく上手に吸えているなと思った。ひとりでやるとなると違うのかもしれないが、一安心はした。ミルクもごくごく飲んでいる。今は少し小さめだから、たくさん飲んでおっきくなれよと思う。

夫が夜来たので、赤ちゃんを部屋につれてきてもらい、夫に抱っこさせた。今までは駐車料が無料の30分以内には帰っていたのに、少し長くいてくれた。赤ちゃんパワーはさすがだ。

夜預けられるのは今日だけかもしれないので、ぐっすり寝させてもらうことにする。4時間ごとくらいには目が覚めたし、痛み止めを飲んだりはしたが、入院以降今までで一番よく寝られたと思う。明日からは母子同室になると思うが、やっていけるのだろうか心配ではあるが、体調も戻ってきているし、できるだけやってみようと思う。

入院8日目、そして出産

昨夜からじんわりとお腹と腰の痛みが出てきた。陣痛につながるかな、どうかな、と思いながらうとうとする。

9時内診、子宮口の開きはさほどらしいが、だいぶ赤ちゃんの頭が触りやすくはなってきましたね、とのこと。今日は点滴をする。今日は産まれないかもしれないけど、週数も進んできてるし、がんばってみましょうと言われる。我が子、がんばってほしい。そろそろいいだろ外の世界も。

10時点滴開始。金曜にやった時と比べ痛みが違う。気軽に人と話す余裕がない。昼食も休み休み食べた。メニューが地味だったが、お産は体力勝負!と思い意地でほぼ完食。

昼食後4回くらいトイレに行く。しかも大きいほう。2、3分感覚で痛みがくるのだが、痛い時は気張れないのですごく時間がかかる。しかも出し切ったつもりなのに何回も行きたくなる、かつすごい出る。点滴の副作用に下痢の症状ってあったな。お産のとき便出そうになったらそっちのほうに気がいって集中できなくなりそうだったので、いきみすぎないよう注意しながらなんとか出し切る。昨日便が出なかったことを後悔する。赤ちゃんも下りてきてるので、腸も押されて便が出るのかも、と看護師さんに言われる。

便と格闘している間お産のほうもどんどん進んだらしく、痛みがどんどこ増してくる。痛みをしのぐのに、ベッドに横になったり四つん這いになったり、立ってどこかに手をついてみたり、穴の空いた丸椅子に座ってみたり、と試行錯誤したのだが、「床に座布団を敷いてひざをつき、壁際にある背もたれ付きの椅子にでっかいビーズクッションを置き、それにしがみついて体をあずける」というのが私にはいちばんしっくりきた。ここでしっくりくる体勢を考えられたことが、後ですごく効いた。

合間に診察いきましょうと何回か言われる。その度に部屋から診察室まで歩いていかないといけない。通常時なら歩いて20歩程度の距離なのだが、ちきしょう、部屋で見てくれよぉぉぉ!と終わりのほうになればなるほど思った。でも逆らう気力もなく、「…はい」と力なく答え、よぼよぼ途中で何度も止まりながら進む。

診察する度に「えー!すごい!すごい進んでるよ!いい調子!」と看護師さんに褒められる。聞けばこの日すでに3人くらい産まれたらしい。この波にあなたも乗れたらいいねえ!と言われた。昼過ぎの時点では「うーん、このまま本陣痛につながるかはなんとも言えないねえ」と言われていたのだが、いやまさかこんなにスルスルと進むとは思ってもみず、慌てて夫に電話する。この時点で15時。すると県北の方にいるという。すぐに病院に向かうとは言ってくれたが、こりゃあ間に合わないかもしれないぞと思った。迷ったが、身内のフォローがないと心細かったので母に応援を頼む。すぐに駆けつけてくれてとてもありがたかったし助かった。身体的なフォローは看護師さんが完璧にやってくれたので、あれをとってくれこれを用意してくれという細かなお願いごとを頼むくらいだったが、見守ってくれているだけでがんばれた。

何回か部屋と診察室の往復をした後、陣痛室いきましょうと言われる。おお、ついに陣痛室!必要なものだけ持って移動する。フローリングに布団が敷いてあるタイプの部屋を選ぶ。壁に先程から使っているクッションを縦置きし、しっかとしがみつく。これがベスポジだった。布団のおかげで脚が痛くならないし、痛いときも踏ん張れるし、痛みが去ったあとは体をあずけて休めるし、たしかに痛いのは痛いがちょっとはマシだった。お腹に張りと胎児心音を測るモニターをつけられ、腕には点滴をされているのがなんともわずらわしく不自由ではあったが。

しかし時間が進むにつれどんどん痛い時の種類が変わってきて、うゔーーーん!と声を出さないと我慢できないレベルになり、体がプルプル震える。硬い便を出したいのに出ない時の感覚に似ている。便のパワーが何百倍もある感じ。まだそこまでいきみたいレベルではないけど、たぶんいきんじゃいけないんだろうなと思ってこらえる。痛いねーとさすってくれたりおしもを押さえてくれたりする看護師さんだが、その間にも促進剤の量を上げていく冷静さを恨む。

合間に子宮口の開きを二回くらい見られ(もちろん診察室に移動しなければならない。つらい)、分娩室いきましょうと言われる。自分の感覚としてはえっもう産む体勢になっていいの?!という感覚だった。産前の母親教室で、産む間際にならないと分娩室に移動にはなりません、と教えてもらっていたので、ゴール地点もよくわからないまま走り始めたけど(そして走る距離もどのくらいあるのかわからないまま走り始めたけど)、気がついたらゴールテープが見えてきた!と光が射した思いがした。いつ陣痛室そして分娩室に移動したのかは覚えてないが、母曰くあれよあれよと進んでいくのにびっくりしたそうだ。まだまだこんなもんじゃない、もっとかかるよ、産まれるのは深夜くらいじゃない?と思っていたそうだ。私が比較的冷静に陣痛に耐えていたのもあったかもしれない。取り乱したり大騒ぎしたり暴言を吐いたりがなく、最後まで周囲に「すみません、ありがとうございます」という気持ちでいられた。人に気をつかっているうちは産まれないと看護師さんに言われていたが、そうでもなかった。

分娩室でお産の準備をばたばたと進めてもらっている間、助産師さん看護師さんは「ご、ご主人はまだですか?!」と慌てていたらしい。すみません夫のことまで心配してもらって。でももういいです、間に合わないかもですがみなさんのリードに従って産みますので、と思っていた。すると夫到着。なんというタイミング。夫に頭の方に回ってもらい、うちわで扇いだりいきむとき頭を支えてもらったりする。

そこからいきむ体勢に入った気がする。はい、いまいきんでー、脚の内腿もってぐーっとひっぱってみてー、今度はお尻のほうに力入れてみてー、などという指示に従い、その通りやってみる。そうそう、上手上手!と褒められる。途中赤ちゃんが一番苦しいところを出ようとするとき酸素を鼻から入れられた。何回かいきんだ後、破水したのが分かった(あるいは先生が破水させたのかも)。もう頭見えてるよ、ふさふさの毛が出てきてるよと言われやったあ!と嬉しかった。あとちょっとだ。会陰切開され(ばつんばつん!というハサミを入れる音が恐怖だったが麻酔のせいか陣痛の痛みのせいか、切る時はちくっとした程度)ふーんといきむとにゅるんと出てきた感覚が。「頭出たよー、あとは肩出ますよー、ほーら出たー!」助産師さんが言った後、おぎゃあおぎゃあと泣き声が聞こえた。「おめでとうございます、女の子ですよー」おお、やはり女の子だったか。出てきた直後からずっと元気な泣き声が聞こえ、安心した。17時26分誕生。ありがとう、がんばったね!

私が胎盤を出したり会陰を縫われたりしている間、夫は赤ちゃんの方へ回って写真を撮っていた。しかし血まみれの赤ちゃんを見ているうちに気分が悪くなったようで(夫は自分の血を見るのもダメなくらいの血が苦手人間)、するっと退室してしまった。まあいいか、産む瞬間立ち会えたし。

産後の処置をしてもらっている間、赤ちゃんの体重が2518gだったことを知らされる。少なっ!41週過ぎてるのにギリ2500g超えたのか、そりゃあなかなか腹から出てこないわ、と思った。そして、週数に対して体重が少なすぎたり多すぎたりすると低血糖のおそれがあるので、新生児室でお預かりして様子を見させてください、と言われた。まあ元気に泣いてたし大丈夫だろう。産んですぐカンガルーケアしたり初乳をあげたりしたかったが、しかたない。

産後2時間は出血量や母体異変がないかを確認し部屋へ戻ると言われていた。処置中は家族は入れないが、出産後分娩室に家族ひとりずつ入ってもらい、助産師さんや先生がいない間は誰かに入ってもらって母体の状態を見てもらう。両親も入れ替わり分娩室に入ってきて、声をかけてくれる。私が会陰切開後の縫合をしている間ずっと父のデカイ声、しかもスマホの使い方を夫にレクチャーしてもらっている声がずっと聞こえ(父は先週スマホデビューしたばかり)、あの親父、私が痛い思いをしているときに呑気なことを…!と殺意を抱いていたが、父が入室した後涙ぐみながら「お母さんになれて、よかったのう」と言ったのでちょっと許す、と思った。
20時を過ぎたが、なかなか先生からの退室OKが出ない。出血量がすごく多いわけではないが、促進剤を使ったことと一気にお産が進んだことで子宮が疲れてしまい、出血しきれてないかも、とのこと。部屋に帰って一気に出血してはいけないので、しばらく分娩室で様子見させてくださいと言われる。子宮の戻りが悪いわけではないらしい。何回かお腹をくぐっと押されて出血させられる。待機中はその間夫にカープの試合経過を教えてもらったり(先制されたが逆転しそのまま勝ったのでよかった)親族に連絡したか聞いたりして過ごした。

結局、大丈夫だとは思うけど、まだ一気に出血する恐れがあるため今晩は立ち上がらないほうがいいということで導尿をされ、22時前ベッドで部屋に戻った。産む前より産んだ後のほうが時間がかかってしまった。待ってもらった家族に申し訳ない。病院の夕食が食べられなかったので、母にコンビニおむすびを買ってきてもらい、食べさせてもらった。ひとりだったら食べる気はしなかったと思うが、折角買ってきてもらったのだからもったいないし食べないとというくいいじと、食べないと後がしんどいかもと思いで、おむすびふたつ食べきった。私のごはんを見届け、夫と両親は帰っていった。最後までありがとう。

就寝前、血栓予防に弾性ストッキングとレッグエアーポンプを履かせてもらった。出産後脚がつりそうになっていたので、気持ちよかった。しかし点滴・導尿をされ、指に酸素濃度計をつけられ、脚にはポンプ、と管まみれ。かつお尻が痛い(最初尻の穴まで私は縫われたのかと思ったくらい、ピンポイントで尻が痛かった。聞けば、出産時にお尻に力が入るからうっ血してるかもしれないし、お尻の近くまで縫ってるから痛いと思う、と言われた)ので全然寝られない。痛み止めを飲んで1時間くらいは寝られた気がする。とにかく朝までずっと「尻が痛い…痛いよう…」とだけ思っていた。